患者と歯科医療従事者の医療安全と感染制御・滅菌管理を追求する研究会 Advanced Care Denta Office

Advanced Care Dental Office
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イリタニオフィス

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小規模歯科医院滅菌管理要項

小規模歯科医院における滅菌管理推奨要項(素案)

 厚生労働省の資料によると歯科医院には年間延べ3億~4億人の患者が、過去四半世紀には100億人程度の患者が血液・体液まみれの飛沫・エアロゾル満載な歯科医院で歯科治療を受けていると推測できる。

 過去四半世紀で100億という桁の受診数であるが、器具機材の滅菌消毒の概念がなく現代のような滅菌がまともに行われていなかった半世紀以上前から現在に至るまで歯科治療が原因でB 型肝炎ウイルス(HBV)、C 型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のような血液媒介ウイルスなど色々な感染症が医療側から’患者に感染したり、患者~患者間の感染あったという報告事例はなくほぼ皆無である。

 医療現場に於ける滅菌管理業務は事実上医療機器メーカー主導で学会ガイドラインが作成され行われているように感じる。その結果、医療現場では超高額な滅菌関連医療機械や大量の器具器材等の導入を強いられメーカーや学会の利害関係にあるガイドラインのために滅菌業務が行われていると言っても過言では無いだろう。患者のために行われているのかは相当な議論の余地がある。そのために歯科医療現場はガイドラインに縛られヒト、モノ、カネ、時間、空間確保に甚大なコストと労働負荷がかかっているのである。

 学会等は現場のために滅菌業務・管理システムを低コスト化シンプル化しようとはしない。メーカー主導で複雑怪奇なガイドラインで縛り、更に優良施設を認定する、いわゆる学会認定商法にありがちな仕組みを構築されつつある。

 ここではガイドラインが現場や患者のために本当に役に立っているのかを考えた。小規模歯科医院で使えるよう患者のためを忘れないようにした。豊富な資金原と豊富な人材が確保し分業化が進む病院と零細歯科医院は別物です。メーカーと共に複雑化高コスト化させようとする学会ガイドラインに対し、世界一安い歯科保険診療報酬と言われる中で世界一高い医療機器を買い揃えなければならないジリ貧零細歯科医院ではどうあるべきか低コストでシンプル化出来ればと考察したいと思う。

 少なくとも昭和時代の滅菌すら満足に行っていなかった時代から現在まで歯科治療が原因で患者を感染させたという事例はゼロにも等しいからである。

役員がすべき事や注意点

  • 平時に行っていないことは有事に出来ない。空気感染が疑われる伝搬力が高い2類感染症相当の感染症が蔓延してもその水準が平時とし対応出来ていることを意識し考えておくこと。
  • 洗浄は用手洗浄で器具・器材を管理することが基本となる。スタッフの安全が第一である。
  • 滅菌管理は基本的に人に任せず歯科医師自ら全てを行うことが最善である。特に重要な器具・器材は歯科医師自ら全てを管理することを勧める。
  • 定期的に院内ミーティングを実施する。議事録でスタッフ間と情報共有すること。
  • 定期的に院内ラウンドを実施する。治療器具・器材の簡素化に務める。作業効率の簡素化を考えること。
  • 年に1回以上関連学会・講習会に参加すること。
  • 【動線】 器具器材を運搬する安全な動線を考えること。 器具器材の運搬、洗浄、組み立て、滅菌、保管を可能な限り交わらない作業効率に優れる間取りと動線考えること
  • 滅菌管理業務について 治療器具と洗浄・滅菌法の簡素化に務めること。高額機器導入の際は発売日・部品保有期間、メンテナンスや定期交換が必要な部品等のコストを確認していくこと。業者は聞かれなければ教えません。1日の平均患者数から器具・器材の量を予測し滅菌管理システムを構築すること。器具・器材の洗浄・滅菌については必ずしもメーカー取説や学会ガイドラインは参考程度とし必ずしも従う必要は無い。管理者(歯科医師)はメーカー取説・学会ガイドライン等熟読確認し医学・理工学的に問題ないと判断すれば洗浄・滅菌・組み立て業務を可能な限り簡素化単一化することを推奨する。器具・器材の不備や破損等は診療時に発見することなので補充器具・器材を診療室内にすぐに取り出せるよう常備しておくことが望ましい。
  • 【洗浄業務】洗浄は用手洗浄で器具・器材を管理することが基本となる。セメント類など固着しやすいものは診療時に常に拭き取るよう指導しておくこと。機械洗浄器は場所が確保できるのであればサブ的に導入を検討する。歯科器材は最後は用手洗浄が常となる。医療用が理想ではあるが場所と金銭的時間的コストの負担が大きので業務用家庭用食洗機を検討しても良いだろう。医学的微生物学的に日常業務の洗浄機としては十分な効果がある。機械洗浄器は使い方によりかえって非効率的になる可能性がある。冬季は洗浄時間をより長く要する。業者は売りたいだけ利点ばかりを強調するので注意が必要。歯科小器具は異物が固着していることが多々あるので結局最後は目視し用手となる。
  • 【組み立て業務】包装材、コンテナなどは管理者が決定し周知すること。※有効期限について表記・管理期間を決定すること。
  • 滅菌業務】洗浄は用手洗浄で器具・器材を管理することが基本となる。セメント類など固着しやすいものは診療時に常に拭き取るよう指導しておくこと。機械洗浄器は場所が確保できるのであればサブ的に導入を検討する。医療用が理想ではあるが場所と金銭的時間的コストの負担が大きので業務用家庭用食洗機を検討しても良いだろう。医学的微生物学的に日常業務の洗浄機としては十分な効果がある。機械洗浄器は使い方によりかえって非効率的になる可能性がある。冬季は洗浄時間をより長く要する。業者は売りたいだけ利点ばかりを強調するので注意が必要。歯科小器具は異物が固着していることが多々あるので結局最後は目視し用手となる。
  • 【蒸気滅菌器などのモニタリング】特に必要はないが物理的インジケータの記録は可能な場合データを保管しておくと良いだろう。
  • 【各バリデーシション】小規模歯科医院では不適
  • 【作業手順書】院内マニュアルは簡素にまとめる程度でよいだろう。学会ガイドライン通りに従えば診療どころではなくなるので、学会ガイドラインは熟読するが参考程度にしておけば良いだろう。それよりもスタッフとの日々のコミュニケーションを最重要視すること。

滅菌管理業務スタッフがすべき事や注意点

  • 滅菌業務安全性と効率を意識し行うこと。外部用化学的インジケータclassⅠを用いること。
  • 薬剤等の用法・用量・時間を遵守すること。機械洗浄は補助的に使用する。用手洗浄が原則となる。
  • 滅菌関連物品等の在庫管理を行うこと。
  • 安全第一を心がけること。
  • 院内ミーティングに参加すること。
  • 院内ラウンドの参加に参加すること。
  • 年に1回以上関連学会・講習会に参加すること。
  • 機械等の異常を発見したら直ちに報告すること。
  • 保管している滅菌物に異常がないか確認すること。
  • 【容量】 制限があるものは7割程度にとどめること。置き方や方向を考えること。
  • 【運搬】 運搬法と運搬路の動線の安全を確保すること。
  • 【洗浄】 薬剤等の用法・用量・時間を遵守すること。機械洗浄は補助的に使用する。用手洗浄が原則となる。
  • 【梱包】 安全性と効率を意識し行うこと。外部用化学的インジケータclassⅠを用いること。
  • 【滅菌業務】作業効率を考え行うこと。医学的理工学的に常識の範囲であれば滅菌法に関しては管理者の指示を仰ぐこと
  • 重要な治療器具・器材は歯科医師が洗浄・梱包・滅菌するのが好ましい。
  • トレーサビリティーは特に必須では無い。
  • 払い出し
  • マニュアルよりも日々の院内スタッフとのコミュニケーションが重要である。注意事項を常に確認し合うこと。